介護報酬改定の概要について(当施設の場合)

平成21年度介護報酬改定の概要が示された。改定率の考え方についてその柱となったのは、本年通常国会で成立した「介護従事者等の人材確保のための介護従事者の処遇改善に関する法律」を具体化したものとなったと受け止めることができる。介護従事者への国の考え方の一つが示されたといえる。基本な考えとして、介護従事者の人材確保・処遇改善、医療との連携や認知症ケアの充実、効率的なサービスの提供や新たなサービスの検証など新たな加算、従前の見直しから廃止となった加算もある。今回の改定率は在宅分が1.7%、施設分が1.3%とし、全体で介護報酬改定率3.0%と初めてのプラス改定といえる。(とは言っても18年度の改定の影響は大きい

改定の内容をみると、介護従事者の能力に応じた給与の確保のための対応として介護従事者の専門性等のキャリアに着目した評価がなされており、全事業を対象として共通の体制加算となっている。介護従事者のキャリアとして「介護福祉士の割合」及び「利用者にサービスを直接提供する職員の総数に占める3年以上の勤続職員の割合」とし、これらの要件を満たしていれば加算算定を認めている。また、地域区分の見直しにおいては、介護従事者の地域格差は大きく、大都市部の事業者ほど給与費が高く経営を圧迫する傾向にあることを踏まえ改定があった。当施設の所在する鎌倉は特甲地であり、介護老人福祉施設の場合は0.05%の改定となったが、大都市部とは約3%近くのひらきとなった。また国が考えている人件費割合ということについては、それぞれの法人の給与規程に基づく給与が支払われており、給与を含めた処遇においては国よりも上回る値を出しているところもある。大都市部のみプラス改定の恩恵となって、その他に該当する地域については改定なしであった。また、多様な勤務形態をとっても必要となる職員の配置ができず、常勤の職員割合が高くなる場合においては国の占めす人件費割合はそれを下回る、上回るという赤字ラインの線引きでしかないようと思われる。

介護従事者の専門性等のキャリアに着目した評価
介護老人福祉施設・短期入所生活介護(次のいずれかに該当することが要件)
介護福祉士50%以上配置されていること(介護職員の総数に占める割合)12単位/人・日
常勤職員75%以上配置されていること

③3年以上勤務する者30%以上配置(直接処遇職員の総数に占める割合)

②③で6単位/人・日

共通事項に係わる事項については以上であるが、当施設の状況については以下について予測される。

 

介護従事者に専門性等のキャリアに着目した評価

当施設では、②の要件の要件を満たし6単位の体制加算が認められると理解される。専門性のキャリアに着目した点においては、興味深い調査がある。財団法人介護労働安定センター平成19年度介護労働実態調査において有効回答4,783事業所、及びそこに雇用される介護労働者41,593名の調査においてその保有資格はヘルパー12級で約50%をしめており、介護福祉士はその約半分の25%程度、就労実態、介護サービス提供現場において介護福祉士だけでなく、その大半をヘルパー1級とくに2級の保有資格のあるものが支えているという実態である。ヘルパー12級をキャリアとして評価されていないこと、社会福祉士の配置に対する評価がまったくなかったことについては、特に残念でありそれぞれの専門職団体として今後の活動に期待するしかないのだろうか、期待薄しという感じである。

1 介護老人福祉施設

     要介護度の高い高齢者に対して質の高いケアを実施している施設に対する評価

     常勤の看護師の配置や手厚い看護職員の配置等に対する評価

     外泊時費用の見直し

(1)            日常生活継続支援加算(新規)22単位/日

   ※算定要件

次のいずれにも該当する場合

① 入所者のうち、要介護45の割合が65%以上又は認知症日常生活自立度Ⅲ以上の割合が60%以上であること。

② 介護福祉士を入所者の数が6又はその端数を増すごとに1以上配置していること。

(2)            夜勤職員配置加算(新規)13単位/日

夜勤行なう介護職員・看護職員の数が最低基準を1人以上上回っていること。

(3)            看護体制加算(新規)(Ⅰ)4単位 (Ⅱ)8単位

   ※算定要件  

看護体制加算(l)  常勤の看護師を1名以上配置していること  

看護体制加算(ll)  

①看護職員を常勤換算方法で入所者数が25又はその端数を増すごとに1名以上置していること。

②最低基準を1人以上上回って看護職員を配置していること。

③当該施設の看護職員により、又は病院・診療所・訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間の連絡体制を確保していること。

(4)            看取り介護加算(重度化対応加算の廃止。算定要件の見直し)

80単位/日   (死亡日以前4~30日)

680単位/日  (死亡日の前日・前々日)

1,280単位/日 (死亡日)

(5)外泊費用の見直し

   320単位/日から246単位/日(6日の限度は変更なし)

(6)            常勤の医師の配置

20単位/日から25単位/日

(7)栄養管理体制・栄養マネジメント加算等の見直し

   実質管理栄養士配置加算が廃止されるとともに、基本介護費(12単位プラス)に包括された形となっている。

   栄養マネジメント加算 12単位/日から14単位/日

(8)            口腔機能維持管理加算(新設)30単位/月

   ※算定要件

① 介護老人福祉施設、介護老人保健施設又は介護療養型医療施設であり、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が当該施設の介護職員に対して、入所者の口腔ケアに係る技術的助言及び指導を月1回以上行っていること。

② 当該施設において、入所者の口腔ケアマネジメントに係る計画が作成されており、①に掲げる歯科医師又は歯科衛生士がその計画の作成にあたり助言及び指導を行っていること。

2 認知症関係サービス

・認知症高齢者の在宅生活を支援する観点から、家族関係やケアが原因で認知症の行動・心理症状が出現したことにより在宅での生活が困難になった者の短期入所系サービス及びグループホームのショートステイによる緊急受入れについての評価を行なう。

・若年性認知症患者やその家族に対する支援を促進する観点から、施設系サービス、短期入所系サービス、適所系サービス、グループホームにおいて、若年性認知症患者を受け入れ、本人やその家族の希望を踏まえた介護サービスを提供することについて評価を行なうこれに伴い、現行の通所系サービスにおける若年性認知症ケア加算は廃止する。

     専門的な認知症ケアを普及する観点から、介護保険施設やグループホームにおいて、認知症介護について一定の経験を有し、国や自治体が実施又は指定する認知症ケアに関する専門研修を修了した者が介護サービスを提供することについて評価を行なう。

(1)認知症行動・心理症状緊急対応加算 200単位         /日(入所日から7日を上限)

   ※算定要件

認知症日常生活自立度がⅢ以上であって、認知症行動・心理症状が認められ、在宅生活が困難であると医師が判断した者であること。(入所日から7日)

(2)若年性認知症利用者(入所者)受入加算(新規)120単位/日

   宿泊による受けいれ

若年性認知症患者やその家族に対する支援を促進する観点から、施設系サービス、短期入所系サービス、適所系サービス、グループホームにおいて、若年性認知症患者を受け入れ、本人やその家族の希望を踏まえた介護サービスを提供することについて評価を行なうこれに伴い、現行の通所系サービスにおける若年性認知症ケア加算は廃止する。

 

1宿泊による受入れとは、介護老人福祉施設、介護老人保健施設等による受入れをいい、通所による受入れとは、通所介護、通所リハビリテーション等による受入れをいう。

2 通所介護及び通所リハビリテーションにおける若年性認知症ケア加算は廃止する。

3 介護予防通所介護及び介護予防通所リハビリテtションについては、240単位/月

(3)認知症専門ケア加算(Ⅰ)3単位/日 (Ⅱ)4単位/日

   ※算定要件

次の要件を満たす施設・事業所内の認知症日常生活自立度以上の者11日当たりにつき、上記単位のいずれかを加算

【認知症専門ケア加算l

①認知症日常生活自立度Ⅲ以上の者が、入所者・入居者の12以上

②認知症介護実践リーダー研修修了者を、認知症日常生活自立度Ⅲ以上の者が20人未満の場合は1名以上配置し、20人以上の場合は10又はその端数を増すごとに1名以上を配置

③職員間での認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導会議を定期的に実施

【認知症専門ケア加算Il

①認知症専門ケア加算lの要件を満たし、かつ、認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置(認知症日常生活自立度Ⅲ以上の暑が10人未満の場合は実践リーダー研修修了者と指導者研修修了者は同一人で可)

②介護・看護職員ごとの研修計画を作成し、実施

 

要件を満たしている思われる加算として、日常生活継続支援加算22単位/日、看護体制加算4単位/日、栄養マネジメント14単位/日、精神科医師による療養指導加算5単位であり、基本介護費に管理栄養士配置加算が包括された12単位とすると、1日あたり18単位のアップ率改定となった。単純計算で一月に約38万の増収となることが予測される。ただし、これは介護福祉士などのキャリア評価のための人員配置とその継続が必須要件であるため、持続的な算定とは考えにくい。また、新規創設された日常生活継続支援加算にもあるように要介護度の高いかた入所者の重度化が要件の前提となっている。ある意味従来型の特養にとっては評価の大きい点となったのではないか。国が前面に押しすすめてきたユニット型特養においては、個別ケアを進める視点と手法及び具体的な試みとしてユニット内での炊飯やおかずや副菜の調理や入居者により盛り付けなど、暮らしの中で生活者という視点を大切に日常の生活行為を通じての生活支援であったはずが、今回の改正においてはその評価はどこにも見当たらない。夜間職員の配置加算においても、ユニット型特養においての夜勤体制は2ユニットに1名(入居者20名に1名と基準がなっている)となっていて、この基準を1名以上増やすなど現状では不可能な加算の一つである。月に38万の増収であったとしても常勤職員2名も雇えない状況である。

 

私たちは、数字を相手にしているわけでなく目の前にいる入居者の方である。介護サービスは究極的には人と人との人間的なふれあいによって得られる実感をいかに両者が感じれるかではないだろか。苦難の時期にありながらも、先の見える達成感を示すことが個々の施設に求められているのかもしれない。